よし やるぞ

新機種購入
FDAM-3も使い物にならなさそうなので,50MHzの無線機もいる,車でも運用したい,
などなどいろいろ考えた.性能よりもまず希望の電波を出すことを第一に考え(高価
な機種も買えないし)ICOMのIC706を購入した.さすがに交信もスムースに行き,ごき
げんだった.購入した機種は50MHz帯にも出られるので,今度はそれ用のアンテナを
作る事にした.波長は6mなので3mあればフルサイズのダイポールアンテナは比較的
簡単に自作出来る.植物の添え木用の竹の形に似せた棒を2本買って,同軸ケーブル
と接続し,家の軒につるした(今も記念に置いてある).たまたま50MHzでワッチを
していた時に”CQ CQ”の声が聞こえたのでさっそく応答.50MHzに愛着があって好き
なことを話すと,この地域で50MHzのロールコールが行われている事を教えてもらった.
電波が飛んでいるのが判って嬉しかったし,このバンドが好きな人達がいると聞いて,
興味津々となり,その日が待ち遠しかった.1995年11月のことである.

ロールコールに参加
その日が来た.JH9CYY局のコールに応答する.最初はどきどきしながらの参加で,
一般的な自己紹介,使っている無線機とアンテナと位置等を紹介した.そして徐々に
なじめていけた.参加している中で,この地域の50MHzの好きな局が大まかに判って
きた.当然,各局も自分が使っている機械類の紹介をしてくれるわけだが,50MHz好
きなだけあってかなりの設備を持っている.自分のは無線機もアンテナも一番貧弱だ
った.それでも,こんな装置で50MHzに出てくるかという意味においては,このバンド
が好きだというのは伝わったと思う.しばらくはこの状態で交信を楽しんでいた.

閑話休題

電波は届くものが当たり前のように思うが,何にでも限界はあり,性能はそれをどこ
まで追求するかということだと思う.市販品には出来ることと出来ないことがあり,
商品としては無いがこうしたいと思う時には自分でするしかない.電波の場合は,
多少アンテナが悪くても,最初に大きな力を注げば遠くには飛んでくれる,しかし
アンテナが良いとさらに遠くへも飛ぶし,微細な電波も受信できてしまう.アンテナ
原理を簡潔に書いてあるページを紹介しましょう.(快くリンクを承諾してください
ました,ありがとうございます.)
素子の数が多い程,ある一定の範囲に対して指向性が強くなっていきます.
そして理論上はいくらでも短縮できるのですが,効率よく送信できる周波数の範囲が
短くすればする程,狭くなっていきます.
因みに,効率よく電波を送受信出来るアンテナの発明者は日本人なのです.

出会いとアンテナへの興味
ある時のロールコールに4エリアからの参加があった.しかし,自分の設備ではその声
は聞こえない.他の局はすんなり受信できている.初めて無線をした時に憧れていた回
転装置付きのアンテナが脳裏に浮かんだ.この地で暮らしてもいいと決めていたことも,
その思いを増幅した.しばらく悩んだ末,HB9CVタイプの(ミニマルチ製)のアンテナと
ローテーター,ルーフタワーを設置することにした.他に144,430MHz用のホイップ,
50MHzだけでは寂しいので21MHz用のHB9CVを設置した.アンテナとしてはまだ
貧弱だが,地の利もあって(高台の住宅街)前述の他のエリアからの電波も受信でき,
これでようやく入門者から初心者になれたような気がした.

また,ある時のロールコールにJA9BHZ局(知る人ぞ知る6mマン;サイレント・キー)が
参加された.知識もあるし,その設備を聞いてびっくりした.なんと7エレメントの
2列2段のアンテナ.かつ自作のハイQ受信アンプ.アンテナも受信アンプもそれぞれ
専門誌に紹介されていた(6Mハンドブック).しかも運用周波数は50MHzのみ.それで
DX150カントリ−を達成されていた.機械を買って売っている装置を付けて運用して
いる自分がちょと恥ずかしいような気になった.もちろん,その頃の装置は個人で作れ
るものではなく,しょうがないのだが・・・
アマチュアという限り,どこかに,自分で作ったものや,工夫してある箇所が無いとな
と感じたのである.氏は,大事なのは電波の出入り口といつも言われていたように思う.
そんな事もあって,一旦火がつくと止まらない,無線機をグレードアップするよりも興
味はアンテナの変更へと向いていた.予算と,空間的,社会的影響(隣人への配慮)等を
毎日考えていた.そんな時,CQ出版社から八木アンテナを作ろうという本が出た.それ
には,アンテナシミュレータソフトが付属していた.本をむさぼり読み,そのソフトで
いろいろ計算をしていた.そして,ミニマルチ製の4エレHB9CVを購入することとなった.
元のアンテナは移動用に使えるように置いておくことにした.

1)アンテナは自分で設置したいのだが,屋根に上るためには梯子がいる,仕事時間中に
 後輩を一人捕まえ,DIYの店に買いに行った.家族も梯子を買うことには反対してい
 たのもあって,大ひんしゅくな出来事となった(笑).

2)アンテナの本はJA9QPY 玉置氏の著作であるが,現在でも活躍されているようだ.
 この時のソフトを今日(090201)ダウンロードし,winXPで動かしてみた,フォルダー
 設定を指示通りにすればちゃんと動いた(当然かもしれないが・・・)


上級試験への挑戦
ロールコールの話題の中で他のメンバーにも感化されて,何か一つでも工夫をしようと
思っていた.もう一つは,いくらそれをしてもやはり送信出力は大きい方が良いに決まっ
ている.4級(電話級)では10Wまでしか出せない.上級試験に合格するにはそれなりの
知識はいるし,今のままでは不可能なのも判っていた.やる気というのは不思議なもので,
堂々と100Wを出すべく上級試験に望むことにした.目標は2級,だめでも3級は取りたい.
一番の難関は試験に電信信号(いわゆるトン・ツー)の受信があること.目標を春期の試
験,勉強期間を3ヶ月と決め,2級国家試験用の資料と3級および2級の電信信号の受信トレ
ーニングのカセットを買い,勉強し始めた.試験日が別なことを確かめ同時に2級と3級を
申し込んだ.3級の試験当日,仕事の都合で行けなくなってしまった.残りは2級のみ,
法規と学科は何とかいけたかなと思ったが,やはり電信の受信は自信がなかった.
結果・・・不思議にも合格.これで100Wが出せる.因みに仕事以外でこれだけ勉強したこ
とは今までにも無い(笑).そして,メーカーに無線機を送り50W仕様にしてもらった.
(免許の書き換えもした.)

ごそごそと
BHZ局からは最低でも受信アンプは付けた方が良いとのアドバイスを受けていた.試験に
合格したことで,気分も高揚していた.受信アンプの回路を探してきては作り,送受信の
切り替えリレーも組み込んで作ってみた.試行錯誤の上,やっとできたと思い使用してみ
ると,送信したとたんに回路が吹っ飛んだりして・・・結局完成しなかった.
電信も出来るようになったことで,出来れば電信にも出たい,しかし受信能力は最低で
かなりゆっくりな速度でないと聞き取れない.偶然にも,電信信号をパソコン上で表現
出来る回路が,ある本に出ていた.それを見て,部品を揃えて作ってみた.面白いことに
正常に動作したのである.これで,電信も出来るようになった.

一方で,アンテナのエレメント数もあげたいと思っていた.ロールコールの会話の中で
直列スタックにするか,並列スタックにするかという話も出ていろいろ考えていた.こ
こでも,BHZ局にアドバイスをいただいた.すなわち,並列にすると左右からのノイズが
相殺され,結果的に受信には有利だということだった.それを聞いて,並列にしようと
決めたが,予算もある.出来ればある物は使いたい.そんなわけで,とりあえず
並列4エレx2にすることにした.理屈上の性能は倍になるはずもなく
7〜6エレの性能にしかならない.7エレ1本にした方が,構造的には良いというアドバイス
もあったが,空間的な問題もあり,考想通りにした.ある意味邪道的な試みであるが,
各局は暖かく見守ってれていた.実際に性能が上がったかはよく解らない(;^_^A アセ….
それでも,インピーダンスマッチングのための同軸は自作したし,アマチュア的発想もで
きて満足感は達成された(SWR値が良かったのは嬉しかった).
次は廃棄処分になるテレビのアンテナ(周波数は75MHz)を電気店からもらい受け,シミレ
ーションした長さに切り,マッチング回路を自作して144MHzの4エレx2を作った.結構
飛んでいったのを覚えている(一番安い直結ローテータ−も買った).

最近,スタック間にワイア-を一本足しMMNAでシミレーションしてみた.結果は一本分
の性能より下回る場合が多い事が判った.見栄えより実性能を重要視したいという考え
からは離れていた.・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・121120