再々燃の続き(130531)
ようやく来た
車の改造はディーラーの不手際で思ったより長期になり腹立たしさがこみ上げてきた.
完成したのは1ヶ月以上経ってから.それでも思った通りの配線ができ,ボードの蓋を
削ったところに無線機を置くことができた.若干の修正はあったもののやっとモービル
の形が整った.しかし,最初は納得していたのだが,HFのSWRは下がらず,コールしても
なかなか取って貰えない.
年が明けて日も長くなって来た頃,意を決してHFアンテナ基台の位置変更を決断した.
やはり推奨通りにすべきで,SWRは下がるし,CQ局にもピックアップされるようになった.
思考は6mへ・・・
冬はコンディションが悪く,21,28,50MHzは静か・・・.入感するのはローバンドのみ
できるものならやはりローバンドも出たい,電信はすでに忘れてしまったので,電話
での最長周波数である3.5MHzにも出たい・・・・
条件は前項と同様,まず6mの性能向上(7エレ以上),次に3.5HFにも出られる事として
再度計画を練り始めた.以前の計画を白紙にして考えようとしても,前項に書いた計画が
頭から抜けきれなかった.問題は50Mhzの水平スタックの距離で,何処までで妥協(決定)
できるかだけになっている.MMPCで何度もシミレーションをしたりメーカーに問い合わせ
をしたりして自分の頭の中を納得させていった.
最後まで引っかかるのが3dbアップのためには8.4mの距離が必要なことである.
以前行ったYSIMでのシミレーションでは水平間隔は0.6λが良さそうだったこと.
書籍(NHK出版;ハムのアンテナ技術)にも同様のことが書いてあること.
MMANAによるシミレーションでは水平間隔が0.9〜1λでもそこそこ利得があり,左右の
パターン(サイドローブ)はむしろ少ないかなと思えたこと.
等なども脳裏をよぎる
はたして,思考は利得を多少犠牲にしてもできる範囲で水平スタックにする方向へ動いた.
またメーカーさんからも”1λ程度でスタックするのもいいかも”という示唆も受け,これ
以上考えていても進まないので,構想通りのアンテナを上げる事を決断した.
6m:7エレ水平スタック(0.9λ仰角付き;SS-76DXx2)
HF:ナガラ TA−51jr
計画決定
ようやく計画が決まったのは3月.比較的距離の長いスタックなので設置は,タワーを建てて
もらったCQタワーに依頼することにした.ショップ店長のAさんに連絡を取ってもらい下見に
来てもらった.そして当方の希望を話し大まかな設置計画を立ててもらった.
付属部品
1.アンテナチューナー
(マルチバンド)短縮ダイポールは周波数帯域が狭くなるのは避けられない.チューナーの記事
を探しているとCQ誌(2012年6月号だったと思う)にアンテナチューナーをダイポールに使用
する記事を見つけた.直感的に ”よしこれだ!!” と思ったのであるが,次は機種選択.
200Wは出せるようにしておきたいので必然的に東京ファイパワーの製品となった.無線ショップ
のマスターにこの方法で使用可能かどうか,具体的な取り付け方法等を何度も聞いて貰った.
そして,一応使用可能であること.結線は同軸ではなく通常のワイア-を使用した方が良い
ことを聴き,それを実践することにした.
2.スタックブーム
アンテナメーカーに打診したところ,作ってもらえる事が判り,一安心
3.仰角を付ける手段
最後は仰角を付けること.これまでのホームからの6mは8や6エリアは聞こえるものの,1や
3エリアはあまり聞こえなかった.その方向にはホームから2〜3Kの所に山が有り,仰角を付
ければDXの可能性も上がり,聞こえるようになるのではないかと考えた.
仰角を付けるためには,スタックを同じ角度にしなければならない.簡単にできる方法としては
スタックブームを回して角度を付ければいいのであるが,垂直ブームに角度が付いてしまい,
力学的に不安定になる.しかも,アンテナメーカーの基本設計では強度保持のためにスタック
ブームが2本にしてあり,この方法は不可能であった.
前項で出て来た大阪日本橋の専門店でその話しをしたところ,たまたま来店した方がその道の
プロで,垂直ブームとアンテナを固定するクランプで仰角を付ける方法を考案してくださった.
しかも,作っていただけるという.何となく運命的瞬間であることを感じ即決した.
これで,机上では完成したことになる.
MMANAでのシミレーション
MMNAで大まかなシミレーションをすると,以下の如くとなった.比較のために,0.6,0.9,1λ
および,水平距離8.4mの結果も示す(0.6〜1.0λ,8.4は仰角無しのスタック単体 の結果).
計画実行
後は日程だけ,しかしCQタワ−のスタッフは多忙らしく,ようやく5/30〜31に来て下さること
になった.
到着後,作戦を練って作業開始.ゆっくりと淡々と進んでいく.そして途中から何度となく
プロの技を垣間見ることになる.
いつも思うことは,どんなものでも奥深くてそれを目の前で体験すると,とても心地よくて感動
するんだな ということ.
自分はアマチュアであるからどこかにアマチュア的な何かを盛り込みたいと思う.しかしすでに
無線機や同軸ケーブル(はしごフィーダーも含めて)やタワーを作るアマチュア無線家はかなり
少ないだろうと思われる.アンテナはアマチュアに残された領域であろうとは思うが,今回の
部品集めや作業を見ていると,これだけのことは私個人の力ではとてもできないし,細部まで
配慮された作業に驚かされた.もちろん安価な料金ではないが,何故だか得をした気分で
いられるのは何故だろう・・・
一方で,無線ショップのマスターには何度となく足を運んでいただき,何人かのローカル局も
見に来て下さった.初対面にもかかわらず和やかな雰囲気でお話しもできた.
その時にふと,免許を取った頃,タワーやアンテナを見て,”こんにちは” とお邪魔すると
OMさんから”まぁ入れ” という返事をもらい,シャックを見せてもらった記憶が蘇った.
そんな雰囲気がまだ当地には残っていそうだなと感じられ,さらに嬉しい気持ちになった.
新アンテナ Ta-51jrの組立て |
Ta-51jrの設置完了
|
|
6mスタックブームとアンテナの調整 |
スタックブームの仮固定,後は明日
|
|
HFに出てみた
初日終了後,ローテーターは使えなかったが,念願のローバンド(3.5,7)で運用してみた.
何と,予想に反してほとんどのQSOが一発コールでできたのだ.ひょとして,このシステムは
結構行けるのではないかと直感的に思えた.短縮ダイポール+ HT-200ATFはかなり良いかも.
運用結果
完成の次の日,50MHzも期待をして電波を出してみた. 伝搬状態は良く,北方面からは
強力だが,東からの電波は入ってこない.シミレーションでもHFアンテナをスタックの上に
設置することで利得はそれ程増えているわけでもない.やはり欲を出さず6mオンリーで
行くべきだったか・・・
今そんな事を考えてもしょうがない(当分は変えようもない)のでしばらくはこのまま行くと
しよう.
最後に
当地ショップ店長のAさん たくさんのヘルプをありがとうございました.
ナガラアンテナ様 部品調達をしていただいたことに感謝いたします.
大阪日本橋のM社長 勝手な注文に応えて下さいましたことに感謝いたします.
そしてCQタワーのW社長とスタッフの皆様,設置に加え,素敵な感動をありがとうございました.
(130608 校正と追記)
(180217 微修正)
(230620 全面的に構成変更,微修正)