ある日の無線機店 2015〜16年
当地には無線機店があって,時々顔を出し,面白そうな話題がないか聞いたりアンテナ工事
を頼んだりしている.大将は昔コリンズの機械をいじっていた方で数年前まではアマ無線
講習会を開催されていた(当然一級アマ).
とある日,店に顔を出すと自分より年配の方が大将と無線談議をされていた.
机の上には何かしらアンテナシミレーションの図.聞いてみると,マッチング無しで約50Ω
になる28MHz用のアンテナデザインだった.アンテナには興味があり,早速そのデータを
教えてもらった.元々はW1JRの考案らしく,CQ出版社の”特戦ハムのアンテナ製作集”に
掲載されているらしい.ネット上の記事としてはJQ1HDR局が書かれている.OMさんから
貰ったデータでは,インピーダンスは49.964+j0.234だった.
VHF,HF帯ではエレメントが長くなり,かなり本気にならないとできないのと,430の八木が
手元に無いことから,430用に変更して作ってみる事にした.

材料集め 2015〜16年
早速100円ショップに行き,植木用の鉄製ガイド,プラスチック棒,コードガイド等を購入し
一本目を作った.アナライザーで調べると明確な測定値は忘れたが,抵抗値は50Ω前後で
SWRも使用域では1.3以下だった.気になるのは(どの程度問題になるか解らないが)バランが
は無いので平衡-不平衡接続となっていることだった.

でバランの作製を試みたものの,ネット上の記事では体積が多くなり,見た目もよろしくない.
しかも,インピーダンスを測定してみると50Ωにほど遠い・・・何故?
何かスマートに問題を改善できないか探していると,シューペルトップなる整合方法がある
事を知り,作ってみる事にした.が・・・不器用なのもあって上手く行かない.
ここまで来て頓座した.そして長期間放置となっていた.

心機一転 180500〜
2018年のゴールデンウイークは少し時間があり,ゴソゴソと部品整理を始めた.見る度に
気になっていた径5mm緑色の30p程の鉄管がさらに気になり出す.もうすぐ移動日という事も
あって,再度アンテナ作製に挑戦することにした.一本では面白くないので目標をパラレル
とし,もう1本分の鉄管と材料を揃えようとした.しかし,同じ部品が探してもない.仕方なく
ブームと左右を繋ぐ支持棒は木製とした.困ったのはエレメントの固定,ちょうど良いサイズ
のコードガイドが見つからなかった.隅々まで探して,ようやく使えそうなガイドを見つけた.

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当初,コネクター類はM型にするつもりだったが,効率も考え急遽BNCにする事にした.
結果SMA,BNCそしてMが混在することになり,まず,ハンディ(SMA)が使えるように計画し,
価格が安い通販で必要なコネクターを少し余分に発注した.

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     BNC T字コネクター          SMAオス-BNCメスの同軸(自作) 

パラレルのアンテナにはマッチング回路が必須で,任意長50Ω→75Ω1/4λ並列→50Ω
のマッチング回路を作製した・・・苦労して作ったのに不要となった.
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上が430用,下は144MHz用のマッチング回路.

シューペルトップ
同軸の外側に末端開放網線(導体)を覆い,整合する方法で,見た目の太さは同軸とほぼ
同じになり,突起物が無いので外見は綺麗で持ち歩きにも便利でになる.
前回ここで挫折しているので,再度シューペルトップについて調べてみた.
すると,興味深い記事に行き着いた.網線の短縮率は0.5〜0.55がよいらしい.早速,この
記事にしたがって作製した.
製作過程としては,5C2Vの入手(無線機店で切れ端を貰ってきた.)と網線の取り出し.
M型をBNCに変更,後は記事に則ってハンダ付け.

T字型コネクターの妙
頭の中ではそれぞれのアンテナからの同軸(任意長)をT字に接続,マッチング回路を付け
送信機へとなる.この状態でアンテナアナライザーで測定してみると50Ωからはかけ離れて
いた.144MHzの時もそうだったので,マッチング回路を外してみた.するとインピーダンス
は50Ω,SWRも目的周波数で1.2まで下がっている!!!

何故?
アンテナからT型コネクターまでの同軸の長さがたまたまそうなる長さだったのか?
T型コネクターの仕様がインピーダンスを変化させないようにしてあるのか?
前者は考えにくいし,後者も仕様の規定は無さそう(ただ,形状は2本を1本にするための
構造なので,インピーダンスが変わらない仕様になっているのかもしれない.)
いずれにしてもインピーダンスの整合はできているのだ.

平衡-不平衡については測定する方法が無いので検証できていない.

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完成した430MHz W1JR仕様 4エレパラレルアンテナ.ベースはカメラ用三脚

結果,前項のように電波は飛んでいなかった・・・

電界強度計
帰って来てから,どうすれば原因を突き止められるかを考えていた.そこで見つけたのが
簡易電界強度計.使えるかどうか不安だったが,比較的安価だったのでだめもとで購入した.
無線用 COSMOWAVE EF30C-BNC簡易型電界強度メーター,¥5,238

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早速使って見ると,しっかり反応し,感度も調節(右のツマミ)できるようになっていた.
ただ,コネクターがBNCメスなので,簡易アンテナを付けるためにはBNCオス-SMAメスの変換
コネクターが必要だった(当地の無線機店に置いてあった).

まずアンテナ.一本ずつ調べると一方から電波は出ていない. なんということ・・・
その後,同軸,T字コネクターも検証
判った事:アンテナ:同軸とコネクターの接合部で一部ショートしていた可能性
という事で,ようやく問題解決.
今後,放射パターンを測定してみようと思う.

(180607記載)